答えよ! それがこの世界の在り様である。
いつものようにベッドにもぐりこみ、いつものように眠りについた。 けれど、ここはどこだろう? 見たことも無いような、雲の上。 かいだ事の無いような、甘い匂い。 「あれ? 訪問リストには無い人だ」 ふらふらと、辺りを見渡していると、ポニーテイルの少女にびしっと指を指されてしまった。 見覚えが無い。誰だろうか? まじまじと、少女の顔を覗きこんだ。 「こんにちは」 「……、こんにち、は……?」 その挨拶は、とても不思議な気がした。 だって、つい先ほどまで、温かい布団に包まっていたのだ。だから、その挨拶は、おかしい。 「えっと、ここは、どこだろうか?」 ともあれ、言葉が通じる相手がいたのには、少しだけ安心した。 その質問に、少女は、にっこりと微笑んで答えてくれた。 「夢の中の続きの国だよ」 しかし、安心したのも束の間で、やっぱり、それは変な感じ。 「夢……、そうか、夢を見ているのか?」 「見ているんじゃなくて、夢にいるんだよ」 いちいち、少女の言葉が、不安になる。 そうしている間にも、ふわふわと雲は流れていくし、景色は淡いピンクでできていた。 「ねぇ、せっかくこの世界に来る事ができたんだよ? どうせなら、遊ぼうよ!」 「遊ぶって……」 良く分からない世界の中で、少女は無邪気に微笑む。 夢の中の世界で、少女が誘う。 「そう、つまり、答えて! この世界は、問いかけにあふれているから」 こうして、この世界の物語が始まった。 |